マッカートニー・ミュージック〜ポール。音楽。そのすべて。

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購入。

この書については決定版に近い何か、になると理解しております。
この本、つまりフロイトの「精神分析入門」の
マッカートニー版です。

フロイトにおける膨大なる臨床例=ポールの全楽曲、という事で、
そこから見えるマッカートニーの分析書として空前絶後の書ですね。

もはや、マッカートニーは「世界に情報として開かれた巨大な音楽的分析症例」
とやっと理解しました。
そこには当然「巨大なるトラウマ=ジョン・レノン
が存在するからこうした分析が可能になるんですが。

でね、精神分析的言語がすべて音楽的言語であるという、この面白さよ。
まだ最初の30ページだけ読んだだけですが、。
これは面白すぎる。
「マッカートニーという症例を通じた音楽分析入門」です。

いや〜、ポールの空洞っぷりがここまで巨大な欲望を抱えているという、
その凄み。
70歳超えて「ポール・マッカートニー」であるという、
その欲望の在処は当然誰かが(この場合は鈴木惣一朗氏が)フロイト的に
解釈して一般理論にするしかなかった、とやっと理解出来た。


当たり前ですけど「著名人」とは
観ている人の欲望を投影している存在ですから、
そういう意味で誰かが「マッカートニー版精神分析入門」を書かなければならず、
おかげですべての書は今後、この系譜に収斂される可能性があるなあ。


他、類似していると思う書は「ヒッチコック映画術」ですね。

技術的解釈とそこに投影される欲望を理解しないと、あの書は書かれない。
当然、それはフロイト自身も自身がそうであったように
著者の自身がその欲望の虜である、という前提ね。



つまり、結構やばい。



著者の鈴木惣一朗氏、
3年くらい前に阿佐ヶ谷ロフトの
ビートルズ関連トークショー
一緒に登壇させて頂きました。
いやはや。

あ、難しい書ではなく娯楽的に最高のサービスが施された本ですよ〜。

もう、なんというか、
「実際の空洞は観る必要さえない」という気分。
だって本人は「空洞」なんですから。
倒錯対象ですね、ポール。
フロイト的だよね。

ジョン・レノンって空洞を自分で自覚して埋めちゃうんですけど、
ポールは自覚ゼロですから、だから、面白いのですなあ。

いずれ、マッカートニーが地上から消える日に向かって、最初の一歩だなあ。
その日にはポール・マニアのクラスタ、階層を超えて、
鈴木惣一朗氏や安田謙一氏や湯浅学氏や菊地成孔氏やすべての論客を総動員して
「マッカートニー・ミュージック」の壮大なる書を作って欲しいと、思いました